子育て支援、社会的セーフティネット、年金、医療・介護など、私たちの生活はさまざまな社会的サービスによって支えられています。また、社会保障がもたらす個人消費の拡大が需要を生み、新たな雇用機会をつくるため、経済社会の成長にもつながります。したがって、社会を支える中間層を再生し、経済の好循環を実現するには、社会保障のさらなる機能強化を積極的に行っていかなければなりません。
そこで連合は、社会保障を「負担」として捉える発想から脱却し、能動的な役割を踏まえて将来を展望する連合「21世紀社会保障ビジョン」を2002年に策定。その後、さらに、連合がめざす「安心社会」の基盤となる社会保障制度のトータルビジョンとして、2011年に「新21世紀社会保障ビジョン」を取りまとめました。
日本は2008年以降、人口減少社会に移行していることが明らかになり、少子高齢化が加速しています。そこで、連合は、結成30周年を迎えるにあたり、めざすべき社会像として掲げてきた「働くことを軸とする安心社会」を継承・深化させ、2035年の社会を展望した中長期の「羅針盤」となる運動と政策の方向性を示すものとして、2019年5月に「連合ビジョン」を策定しました。これを受けて、連合がめざすべき社会の実現に向けた政策面の強化の一環として、「新21世紀社会保障ビジョン」を補強し、同年6月に「社会保障構想(第3次)」として改訂しました。
これまでの社会保障は、救貧や貧困の防波堤として、病気やけが、加齢などのリスクに見舞われたらその都度対応する、いわば対症療法的の支援が中心でした。これに対して、「新21世紀社会保障ビジョン」「社会保障構想(第3次)」では、貧困に陥る前に支援を行う「積極的社会保障政策」と「参加型社会保障」を打ち出し、経済や雇用の改善につながる具体的な制度設計を提起しています。
また、人口減少・超少子高齢化社会を乗り越えていくために、以下の5つを重点戦略として掲げた上で、子ども・子育て支援、社会的セーフティネット、医療保障、介護・高齢者福祉、障がい者政策、年金・所得保障の各制度の改革案をそれぞれ示しています。