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労働相談Q&A

4.賃金支払と一部控除
Q
千円未満の端数が互助会費として天引きされる。
A
法令に定めのある場合や控除協定がない限り賃金からの控除はできない。
法律のポイント
賃金支払の5原則が定められており、賃金からの一方的な控除は全額払の原則に反し許されない。適法に行うには控除協定の締結が必要である(労基法第24条)。
解説
賃金支払の5原則、未払い賃金の請求権の消滅時効と記録の保存

 賃金は、①通貨で、②直接本人に、③全額を、④毎月、⑤一定期日に支払わなければならない。これを賃金支払の5原則という(労基法第24 条)。
 未払いがあった場合の賃金請求権の消滅時効は、2020年4月1日以降に支払われるはずであった賃金については当面の間3年、それよりも前に支払われるはずであった賃金に対しては2年である(労働基準法第115条)。
 使用者は、賃金台帳などを作成して3年間保存する義務がある(労基法第109条)。

控除とは

 ここでいう控除とは、履行期の到来している賃金債権について、その一部を支払わない(縮減する)ことであって、例えば本人の申入れにこたえて給料の前払(履行済みの債権となる)をし、それを翌月の給料から天引きして支払うことは控除に当たらない。

控除協定

 過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)との間で協定を締結した場合にのみ、賃金からの控除ができる。この場合、控除の対象となる項目を具体的に明記する必要がある。

口座振込

 個々の労働者の同意が必要である。退職手当についても、本人の同意のもとで口座振込・小切手払が認められている。

賃金のデジタル払い

 労働者の同意が必要。送付先は、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座に対してのみ認められる。

代理人・使者への支払

 労働者が委任したとしても「代理人」への支払は許されない(代理人が労働者の債権者の場合が想定される)。しかし、本人が病気で出社できない場合などで家族が「使者」として受領することはできる。

現物給与

 労働協約による定めを要する。また、その評価額を労働協約中に定めるとともに、平均賃金に含めることが必要となる。

賃金等の支払明細書発行義務

 労働基準法には、賃金明細等の支払明細書を渡さなければならないとは記載されていないが、所得税法第231条においてその発行を義務付けており、発行を怠った場合、もしくは虚偽の記載をした際には使用者に対する罰則もある(1年以下の懲役または20万円以下の罰金、所得税法第242条)。

<参照条文>

労基法第24条、第109条、第115条
労基法施行規則第7条の二第3項
所得税法第231条、第242条

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