労働契約の期間に定めのない従業員からの労働契約解除・解約(退職)は、原則として告知から2週間後の時点でその効力が生じる(民法第627条)。
※詳細はQ22を参照
退職時の残余年休のまとめ取りは違法とはならない。
労基法第15条で、労働契約に際し、退職に関する事項も文書で明示が義務づけられているので、必ず退職金の有無の確認をすること。
労基法では、賞与も賃金である(第11条)という規定以外に、賞与(一時金)・退職金についての定めはない。従って、雇用契約の際にどのような取り決めをしているかが具体的な支払の根拠となり、契約に違反した場合においてのみ、違反行為となる。そのため、具体的な支給内容や条件を確認することが必要である。
退職金規程が知らないうちに不利益変更され、規定どおり支払われない事例があるが、裁判では満額確保が通常となっている。証拠のためにも古い退職金規定は必ず保存すること。
倒産で退職金が支払われない場合は、未払賃金の立替払制度を活用できる。
退職金制度を設けるか否かは、使用者の裁量に委ねられている事項である。従って定めがないのであれば、法律上は退職金を支払う必要がないが、募集の際、求人広告等に書かれている場合は虚偽の条件で募集をした問題として会社と交渉し解決を迫る必要がある。
また、従来から退職に際して、それなりの額の退職金を支払ってきた場合(労使慣行)は退職金を支給することが労働契約の内容とされた裁判例がある。
労働者の死亡または退職の場合、権利者が請求した場合には、7日以内に賃金を支払い、および労働者の権利に属する金品(社内預金等)を返還しなければならない(労基法第23条)。しかし退職金は通常の賃金ではないので、請求があっても、あらかじめ就業規則等で定められた支払時期に支払っても違法ではない。
退職金からの控除についても労基法第24条の適用があるが、その控除が民法上の相殺に該当する場合には、その額の4分の1までしか相殺できない(民法第510条、民事執行法第152条)。
賃金支払請求権の消滅時効期間は2年間(※)であるが、退職金支払請求権は5年間である(労基法第115条)。
時効前であれば退職日以降に支払日がある賃金(退職金を除く)の未払については、裁判上は支払日以降の期間について、年利14.6%の遅延損害金の請求ができ(賃金確保法第6条)、 また時間外労働等の未払については、労基法第114条による付加金も請求できる。
※改正労基法では、賃金支払い請求権の消滅時効期間は5年とされ、経過措置として当面の間(施行日の2020年4月1日から5年)は3年とされている。
一時金については、賃金の一部と見なされるので、支払時に在職していなくても、算定期間中に勤務していれば請求することができる。ただし、労働協約、就業規則で一時金の支払は、「支払い時在籍者のみ」と規定している場合があるので注意が必要。
また、最近は「企業業績が悪いので一時金は出さない」という場合も多くみられるが、それ自体は契約違反とはならない。このような場合は労働組合との交渉事項となる。
退職時において ①使用期間、②業務の種類、③地位、④賃金、⑤退職の事由(解雇の場合にはその理由を含む)について労働者が請求した場合、書面で交付しなければならない。
また、請求しない事項を記載したり、ブラックリストの回覧等、計画的な就業妨害は禁止(労基法第22条)。
労基法第11条、第15条、 第22条、 第23条、 第24条、 第114条、 第115条
民法第510条、第627条
民事執行法第152条
賃金確保法第6条