無期労働契約への転換ルールは、2012年の労契法改正で新しく規定されたルールである。有期労働契約が更新されて通算5年を超える場合、労働者が期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の申込みをしたときは、使用者はこの申込みを承諾したものとみなす、という制度(労契法第18条)。この規定の適用により、当該労働契約が満了する翌日から、無期労働契約が成立することになる。
なお、会社が無期転換を認めず、現在締結している有期労働契約の満了をもって有期労働契約関係を終了させようと(雇止めしようと)しても、その雇止めをもって無期転換申込権の行使により成立した始期付無期労働契約を解約(解雇)することにはならず、無期労働契約の関係は終了していないと考えられる。
パートタイム労働者、アルバイト、契約社員など、労働契約期間に定めのある労働者は、すべて無期転換ルールの対象となる。また、準社員や、パートナー社員、メイト社員など、各社が独自に位置づけている雇用形態も、その名称にかかわらず、対象となる。
なお、派遣労働者の場合は、派遣元の企業に無期転換への対応が求められる。
上記の規定を活用する際に、「5年を超える通算期間」か否で争いとならないよう、労働条件通知書や賃金明細など、5年を超える労働契約の存在を証明するもの(書面・メール等)を保管しておくよう、有期契約労働者には周知する必要がある。
無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させるような契約、就業規則等は無効と解されている。
労契法第18条では、無期労働契約への転換後の労働条件は、別段の定めのある部分を除いて、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件とする、とされている。一方、無期労働契約転換後には、特別の規定がなされていなければ、期間の定めのない労働者用の就業規則が適用されることになるので、確認が必要である。
就業規則等に正社員転換制度があれば、使用者との交渉も視野に入れて、その活用をはかることも有効である。
議員立法による「研究開発力強化法」によって、大学や研究機関の教員、研究者、技術者等について、労契法第18条の特例(5年超→10年超)が設けられた(2014年4月1日施行)。
以下の対象者については、労契法にもとづく無期転換申込権は発生しない。
労契法第18条