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労働相談Q&A

26.有期労働契約から無期労働契約への転換
Q
契約社員として10年働いているが、毎年の契約更新が不安だ。
A
反復更新して5年を超える契約には無期転換ルールが適用される。
法律のポイント
同一の使用者との間で有期労働契約が通算して5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申込みにより、使用者は無期労働契約に転換しなければならない。ただし、5年のカウントは、2013年4月1日以降に開始される有期労働契約とされている(労契法第18条)。
解説
無期労働契約への転換

 無期労働契約への転換ルールは、2012年の労契法改正で新しく規定されたルールである。有期労働契約が更新されて通算5年を超える場合、労働者が期間の定めのない労働契約(無期労働契約)の申込みをしたときは、使用者はこの申込みを承諾したものとみなす、という制度(労契法第18条)。この規定の適用により、当該労働契約が満了する翌日から、無期労働契約が成立することになる。
 なお、会社が無期転換を認めず、現在締結している有期労働契約の満了をもって有期労働契約関係を終了させようと(雇止めしようと)しても、その雇止めをもって無期転換申込権の行使により成立した始期付無期労働契約を解約(解雇)することにはならず、無期労働契約の関係は終了していないと考えられる。

対象となる労働者

 パートタイム労働者、アルバイト、契約社員など、労働契約期間に定めのある労働者は、すべて無期転換ルールの対象となる。また、準社員や、パートナー社員、メイト社員など、各社が独自に位置づけている雇用形態も、その名称にかかわらず、対象となる。
 なお、派遣労働者の場合は、派遣元の企業に無期転換への対応が求められる。

無期転換申込権が発生する条件
  1. ① 有期労働契約の通算期間が5年を超えている
    • ※通算期間のカウントは、2013年4月1日以降に開始した有期労働契約が対象
  2. ② 契約の更新回数が1回以上
  3. ③ 現時点で同一の使用者との間で契約している
    • ※「同一の使用者」とは、労働契約の締結主体(企業)を単位として定めるものであり、例えばA工場からB工場に勤務場所を変更する等、事業場を変えても労働契約の締結主体に変更がなければ雇用契約を継続しているとみなされる。
期間の証明

 上記の規定を活用する際に、「5年を超える通算期間」か否で争いとならないよう、労働条件通知書や賃金明細など、5年を超える労働契約の存在を証明するもの(書面・メール等)を保管しておくよう、有期契約労働者には周知する必要がある。

無期転換申込権の放棄

 無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させるような契約、就業規則等は無効と解されている。

無期労働契約への転換後の労働条件

 労契法第18条では、無期労働契約への転換後の労働条件は、別段の定めのある部分を除いて、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件とする、とされている。一方、無期労働契約転換後には、特別の規定がなされていなければ、期間の定めのない労働者用の就業規則が適用されることになるので、確認が必要である。

正社員転換制度等

 就業規則等に正社員転換制度があれば、使用者との交渉も視野に入れて、その活用をはかることも有効である。

大学等の研究者の特例

 議員立法による「研究開発力強化法」によって、大学や研究機関の教員、研究者、技術者等について、労契法第18条の特例(5年超→10年超)が設けられた(2014年4月1日施行)。

無期契約転換の特例(簡略化)

 以下の対象者については、労契法にもとづく無期転換申込権は発生しない。

  1. ① 「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く高度専門的知識を有する有期雇用労働者(ただし、期間の上限は10年)
  2. ② 定年後に引き続き有期契約で継続雇用される高齢者
<参照条文>

労契法第18条

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