労働者派遣法では派遣労働者保護のため、派遣元・派遣先に対して、様々な責任を定めている。
労働時間の枠組みの設定は派遣先が行うが、派遣先が派遣労働者に時間外労働や休日労働を行わせるためには、派遣元が36協定の締結・届出を行い、労働者へ周知することが必要である。
【派遣元会社が責任を負う主な事項】 | 【派遣先会社が責任を負う主な事項】 (労働者派遣法第44条~第47条の2) |
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<労基法>
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<労基法>
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<安衛法>
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<安衛法>
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派遣元の講ずべき主な措置 | 派遣先の講ずべき主な措置 |
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派遣労働者は派遣元と雇用契約を結ぶ。その際は、派遣元は派遣労働者に労働条件を書面で明示し、交付しなければならない。また、労働者派遣法では、派遣元は派遣労働者に派遣先での就業条件を書面で明示し、交付しなければならない。この場合、厚生労働省モデルに従った書面交付が法令上義務づけられている。
派遣労働者は書面で明示された契約内容以外の仕事を指示されてもそれに応じる義務はなく、その場合は派遣元を通じて派遣先に是正を求めるべきである。また、契約内容と実際の労働条件が異なっていれば、派遣元との雇用契約を即時に解除できる(労基法第15条第2項)。
労働者派遣法では、派遣労働者と、派遣先の正社員との間で不合理な待遇差を禁止する規定(均等・均衡待遇)が設けられており、2018年の労働者派遣法改正でこれが強化された。特に重要なものとしては、派遣先が派遣先の正社員の待遇情報を派遣会社に提供し、その情報を元に派遣会社は派遣労働者の待遇を、派遣先の正社員と均等・均衡のとれた内容にすることが義務化されたこと(労働者派遣法第30条の3「派遣先均等・均衡方式」)。例外的に、派遣会社と派遣会社の過半数労働組合(もしくは過半数代表者)との間で、派遣労働者の待遇改善に関する労使協定を締結して、その協定にもとづく待遇決定も認められるが(労働者派遣法第30条の4「労使協定方式」)、協定が守られていない場合は、原則の派遣先均等・均衡方式に戻る。(※パート・有期雇用労働者の「同一労働同一賃金」)
労基法第15条第2項
労働者派遣法第30条の3、第30条の4
モデル就業条件明示書