労働相談

 

労働相談Q&A

29.派遣労働者の直接雇用
Q
派遣社員が、派遣先に直接雇用されることはあるか?
A
①紹介予定派遣をはじめ、②派遣期間が3年に達する有期雇用派遣労働者に対する派遣元の雇用安定措置の実施、③派遣先が違法状態と知りながら派遣労働者を受け入れた時点で、派遣先が派遣労働者に労働契約の申込みをしたものとみなす制度がある。
法律のポイント

「紹介予定派遣」(労働者派遣法第2条4項)のほか、派遣元には派遣期間終了時の派遣労働者に「雇用安定措置」を講じる義務がある(労働者派遣法第30条第2項)。

解説
紹介予定派遣

 紹介予定派遣とは、派遣元から派遣先に、派遣労働者を職業紹介(雇用のあっせん)することを予定して派遣就業させるもの。

<紹介予定派遣のポイント>

  1. ① 派遣期間は、同一の派遣労働者について6カ月以下。
  2. ② 派遣就業前の面接、履歴書の送付など、派遣先が派遣労働者の特定を目的とする行為を行える。
  3. ③ 紹介に至らなかった/紹介を受けたが雇用しなかった場合には、その理由を書面等で、希望する派遣労働者に派遣元を通じて明示しなければならない。
  4. ④ 派遣労働者に紹介予定派遣であることの同意を得て、就業条件明示書等に記載しなければならない。
  5. ⑤ 派遣先は、紹介予定派遣により雇い入れた労働者については、試用期間を設けないようにする。
雇用安定措置

 派遣元は派遣期間が3年に達する有期雇用派遣労働者に対し、以下の①~④のいずれかの雇用安定措置(雇用を継続させるための措置)を実施しなければならない(労働者派遣法第30条第2項)。

  1. ① 派遣先への直接雇用申込みの依頼
  2. ② 新たな派遣先の提供(能力、経験に照らして合理的なものに限る)
  3. ③ 派遣元での無期雇用
  4. ④ その他安定した雇用の継続をはかるために必要な措置(有給の教育訓練、紹介予定派遣など)
労働契約申込みみなし制度

 派遣先が違法状態と知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす(労働者派遣法第40条の6)。

[違法派遣の類型]

  • 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合(下記「派遣禁止業務」参照)
  • 無許可事業主から労働者派遣の役務の提供を受けた場合
  • 期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
  • いわゆる偽装請負の場合

[派遣禁止業務]

  1. ① 港湾運送業務
  2. ② 建設業務
  3. ③ 警備業務
  4. ④ 病院等での医療関連業務(紹介予定派遣等は除く)
    ※社会福祉施設等では可能。
  5. ⑤団体交渉や労使協議の使用者側の直接当事者業務
  6. ⑥弁護士、司法書士、公認会計士等の業務
  7. ⑦建築士事務所の管理建築士の業務
派遣期間制限

 派遣契約にもとづく労働者派遣では、すべての業務について次の2つの期間制限が適用される。(労働者派遣法第35条の2、第35条の3)

  1. ① 派遣先事業所単位の期間制限
    派遣先の同一の事業所での派遣労働者の継続的な受け入れは3年を上限とし、それを超えて受け入れようとする場合は過半数労働組合等への意見聴取が必要。
  2. ② 派遣労働者個人単位の期間制限
    派遣先の事業所の同一の組織単位(課、グループなど)での同一の派遣労働者の受け入れ上限は3年。

[派遣期間制限の例外]

  • 派遣元に無期雇用されている派遣労働者を派遣する場合
  • 60歳以上の派遣労働者を派遣する場合
  • 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣する場合
  • 日数限定業務(1カ月間の勤務日数が派遣先の通常の労働者の半分以下かつ10日以下)に派遣する場合
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に派遣する場合
日雇派遣の原則禁止

 雇用契約の期間が30日以内の日雇派遣は原則禁止となっている。ただし、下記の場合は日雇派遣が認められている(労働者派遣法第35条の4

  1. ① 禁止の例外として政令で定める業務について派遣する場合(別表参照)
  2. ② 以下に該当する人を派遣する場合
    • (1)60歳以上の人
    • (2)雇用保険の適用を受けない学生
    • (3)副業として日雇派遣に従事する人(生業収入が500万円以上)
    • (4)主たる生計者でない人(世帯収入が500万円以上)
(別表)[日雇派遣禁止の例外として政令で定める業務]
  業務内容
4条1号 情報処理システム開発関係(ソフトウエア開発)
2号 機械設計関係
3号 機器操作関係(事務用機器操作)
4号 通訳、翻訳、速記関係
5号 秘書関係
6号 ファイリング関係
7号 調査関係
8号 財務関係(財務処理)
9号 貿易関係(取引文書作成)
10号 デモンストレーション関係
11号 添乗関係
12号 受付・案内関係
13号 研究開発関係
14号 事業の実施体制の企画、立案関係
15号 書籍等の制作・編集関係
16号 広告デザイン関係
17号 OAインストラクション関係
18号 セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係
<参照条文>

労働者派遣法第30条第2項、第35条の2、第35条の3、第35条の4、第40条の6
労働者派遣法施行令第4条

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