派遣労働者も解雇には客観的に合理的な理由と社会的相当性が必要であること(労契法第16条)、30日前に予告するか、または30日分の解雇予告手当が必要であること(労基法第20条)などは一般労働者の場合と同じである。
さらに、派遣元と労働者との労働契約が有期労働契約であれば、使用者はやむを得ない事由はある場合でなければ期間途中の解雇はできない(労契法第17条)。
派遣元は、派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって、派遣契約の解除が行われた場合は、派遣先と連携して派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けるなどにより、就業機会の確保をはかることが求められている。たとえ派遣元が新たな就業機会の確保ができなくても、派遣労働者の雇用の維持をはかるとともに、労基法第26条所定の休業手当(平均賃金6割)にとどまらず、基本的には賃金全額の支払いが必要である。
派遣先の都合等で派遣契約が解除されても、派遣元は新たな就労先確保の義務を負うため、新たな就業先を確保できないことは使用者たる派遣元の責めに帰すべき事由であり、賃金全額の支払義務を負う(民法第536条第2項)。
改正派遣法では、派遣先は、派遣先の都合により派遣契約を解除する場合は、①派遣労働者の新たな就業機会の確保、②休業手当などの支払いに要する費用の負担などの措置を講じることが義務として明記された(労働者派遣法第29条の2)。
派遣労働者も労働組合を結成または加入して、団体交渉することができる。
登録型の派遣労働者で、まだ労働契約を結んでいない人も、労働組合の結成・加入ができる。
<団体交渉、不利益取扱いの禁止>
派遣労働者の交渉相手は、直接雇用契約を結んでいる派遣元であるが、派遣先での
労働条件と密接に関係する内容については、派遣先が交渉相手になり得る。また、労働者派遣の役務の提供を受ける者は、労働組合の正当な活動を理由に、労働者派遣契約を解除することはできない(労働者派遣法第27条)。使用者は、労働組合員であることや、労働組合の正当な活動を理由に、解雇等の不利益な取扱いをすることも当然禁止される(労組法第7条)。
一般的に給与所得者の通勤手当は、一定額(例:電車・バス通勤の場合1カ月最高15万円)までは、課税されないことになっている。しかし、賃金が、「通勤手当」と区分されていない、いわゆる通勤費込みの賃金体系となっている場合(登録型派遣に多い)は、非課税の扱いを受けることができず、賃金全体が課税の対象とされる。
ただし、特定支出(通勤費・研修費・資格取得費等)の合計額が給与所得控除額を超える場合には、確定申告で給与所得控除後の給与等の金額からその超える金額を差し引くことで、所得税の還付を受けることができる(特定支出控除)。この申告のためには、雇用先の証明書や、領収書等の書類が必要。
労基法第20条、労組法第7条、労契法第16条、第17条、労働者派遣法第27条、
第29条の2、民法第536条第2項