36.健康診断
- Q
- 正社員に実施されている年1回の健康診断をパートタイム労働者は受けることができないと言われた。
- A
- 「1年以上の雇用継続見込み」と「所定労働時間が正社員の4分の3以上」であれば、健康診断を受けることができる。
- 法律のポイント
- 1年以上の雇用継続が見込まれ、所定労働時間が正社員の4分3以上のパートタイム労働者に対しては、健康診断を実施する義務がある。また、所定労働時間が正社員の2分の1以上の場合は、「健康診断の実施が望ましい」とされている。
解説
- 健康診断の実施義務等
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◎:労働安全衛生法を根拠に実施する義務があるもの。
〇:法令上の実施義務規定は無いが「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について」(平成5年12月1日基発第663号)により実施が望ましいとされているもの。
△:実施根拠規定がないもの。
※1: 労働安全衛生規則第13条第1項第2号の業務
(深夜業を含む業務、重量物の取扱い等重激な業務、著しく暑熱な場所における業務、等)
※2: 労働安全衛生法施行令第22条第1項の業務
(有機溶剤業務、特定化学物質の取扱い等の業務、放射線業務、石綿等の取扱い等の業務、等)
出所:厚生労働省HP「パートタイム労働者の健康診断を実施しましょう!!」
(https://www.lcgjapan.com/pdf/lb09094.pdf)をもとに連合編集
- 健康診断の費用
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- ① 法律によって定められた健康診断
会社の義務であり、その費用は会社が負担する(昭和47年9月18日基発第602号)。
- ② 法律上義務づけられていない健康診断
法律上義務づけられていない健康診断を希望者に実施する場合の費用負担は、労働契約や就業規則等にもとづく。
- ③採用前の健康診断
会社から採用前に自分で健康診断を受け、その結果の提出を求められた場合の費用負担は、会社に支払義務はなく必ずしも会社が費用負担するとまではいえない。
- ④ 自ら選択した任意の健康診断
費用の負担をすべき健康診断は安衛法に定める健康診断についてであり、社員が自ら選択した任意の健康診断を受診する場合には、会社に実施義務は生じないため、その費用については会社が負担する必要はない。
- 健康診断を受けてから3カ月を経過していない者
- 健康診断を受けてから3カ月を経過していない者を採用する場合、当該健康診断結果を提出した時は、会社は健康診断を省略することができる。
- 健康診断受診時の賃金
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- ① 一般健康診断の場合
受診時に要した時間の賃金は、労使協議により定めることが望まれるが、会社が支払うことが望ましいとされている。
- ② 特殊健康診断の場合
特殊健康診断は、所定労働時間内に行われることが原則である。
特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるため、時間外に行われた場合は、割増賃金が支払われなければならない。